地域密着型店舗で成功を収め、ネットショップ『デリ・カリーカ』も好調なタバッキ代表の堤亮輔氏に店舗運営の秘密を聞く [後編]

―今年初め、2回目の緊急事態宣言のときはどうでしたか?

 同じ緊急事態宣言でしたけど、1回目と2回目はだいぶ違いました。去年の12月ごろから補償がしっかりしてきたんです。最初は1事業主に対していくらで、うちなんかは全然足りない。個人店は結構よかったんでしょうけど。2回目は店舗に対してだったので、うちもだいぶゆとりができました。危機感が全然ちがいますよね。1月に緊急事態宣言が出て、ここ(リ・カーリカランド)は閉めて、他は時短で。時短で営業ができたのでテイクアウトは少しスタイルを変えました。今度は一人でも楽しめるようなセットを作ったけど、全然売れなかった。去年の4月のようなお祭りのような売れ方はしなかったですね。

 そこで、かねてからやりたかったことを考え直そうと思ったんです。料理開発研究部があって、ラボがあってスタッフもいる。そこで以前からやりたかった、こんな時だから家庭で気軽に楽しめる冷凍パスタをやりませんかと提案しました。

―先ほども話がありましたが改めて、「デリ・リカーリカ」について教えてください。

 1回目の緊急事態宣言で「デリ・リカーリカ」のシールを貼ってデリバリーをしていますが、「デリ・リカーリカ」のデリは、デリバリーではなく、デリカテッセンのデリです。4~5年前に学大駅の反対側の商店街にちっちゃい物件が出ていて『ここで総菜屋さんやったらいいね。名前は絶対デリ・カーリカだよね』と話していたんです。僕にはやりたいと思っているたくさんのイメージがある。それをいろいろな起こったことに対して合わせているのかもしれないです。

 次のステップがネットショップです。今年1月半ばに冷凍パスタの商品が出来て、2月頭くらいにネット販売を考えるようになりました。どんな方法があるかをみんなで調べたところ、BASEが一番簡単で、僕らに合っているんじゃないかなと、何となく感じたんです。BASEにはスピーディーさがある。たぶん他のネットショップは取材があったり、写真撮りがあったりすると思うんですね。自分たちで写真を撮るのも好きだったし、言葉を作ったり、ロゴを作ったりできるスタッフがいる。今までに培ったチーム力で自分たちにできることは自社でやった方が一番いい。自分たちでできることをやることで、経験ができて体力もつく。そしてなによりも面白い!

―今まで大事にしてきたこと、これから大事にしていきたいことを教えてください。

 人とのつながり、絆。それしかない。僕自身が足りない人間だなと思っています。スーパーマンみたいなシェフって本当にいて、そういう人は自分ができちゃうから、周りに満足しないんだと思います。僕は自分が足りないってわかっているから、人のことも理解できる。そいう共感性は強いと思っています。そこを大事にしていれば、人はついてきてくれる。ちょっと僕にできない仕事をしてくれる人をこれからもっともっと大事にしていきたいし、きっと出会うだろうから、そういう出会いやターニングポイントは逃さないようにする。それを大事にしていきたいです。いま、自分に必要とされることが起こっているから、がっつり逃さないようにしたい。もっともっといろんな人と話をしたいし、いろんな影響を受けたいと思っています。

インタビュー:梅原裕子
構成・文:前田陽子 (kilohana)
撮影:江藤海彦

「食」のウェビナー第3回
『デリ・カーリカ』に学ぶ、ネットショップ運営の実践テクニック  
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