―スタッフのモチベーションを上げる工夫があるわけですね。
店舗でスタッフを固定せず、全店舗をみんなが回るようにしています。常に移動がある。全員でひとつの店舗をやっている感覚になってほしいと思っています。全店舗チャリで行ける距離ですしね。飲食店は休みが取りにくい業界だと思うんです。根性論みたいなところがあって、体調悪いなんて言えないという雰囲気があったり。でも、体調が悪くていいパフォーマンスが出せないのに店にいるより、体調がいい人間がフォローをすればいいだけだと思うんです。うちは4店舗あるので常に20人くらいの人間が働いています。どこかが予約が弱かったりするので、そこから動かしたら、うまくハマる。だから急に体調を崩したり、忌引きだったりしたときもサッと休ませます。そのために万全な状態を作る。そういう点は他店と違うシステムですね。
それと、社内に〇〇部というのがあるのも特徴的かもしれません。役職を作った方が任されていると感じて、能動的に仕事ができるようになる。僕が考えてしまうと、トップダウンになってしまうので、僕は鶴の一声を言わないように気を付けています。以前は言ってしまっていたけれど、言ってしまうとそれが正解になってしまう。今は「どう思う?」とかそういう声かけをしながら、意見を求めて、自然と責任が持てるようにしています。スタッフには一緒に働いていて気づかされることが多いですね。人の見方が変わりました。人の成長を見たときってめっちゃ嬉しい。結果、自分が描いていたチーム像より数倍大きくなっています。
―堤さんがスタッフとの関係で心がけていることは何ですか?
昔は自己顕示欲が強くて、俺を見ろ!っていうタイプだったんです。その雰囲気がオープン当初からいる初期メンバーには移ってしまって。同じ様な態度を取るのでスタッフがすぐに辞めちゃうことがありました。でも、ここ最近はいろいろな方のお話しを聞いたり、自分自身の経験を踏まえて、持続可能な雇用を第一にしなくてはいけないと考えています。そこで大事なのは、関係の質を上げること。そのために、スタッフ全員と定期的に1対1でしゃべる。人によりますが30分~1時間、2カ月に1回くらいの頻度でしゃべります。そのための社長室。ふざけた話をしながら、困っていることがないか聞き出したり、そういうことは気を付けていますね。
後はスタッフ間の関係を良くするために、個人の強みをみんなで理解できるように、個々の資質を話し合うミーティングを定期的に行っています。人はどうしてもダメなところを直させようとしてしまうじゃないですか。それも大事だとは思うけれど、弱みを改善するより強みを上げていった方がいいですよね。お互いにどう思っているのかフィードバックし合うことで個人の強みを再認識できると思います。うちのチームはスクラムの組み方が尋常じゃなくて、そこに入ってきた新人は入りにくいみたい。「僕、ここにいていいのかな」「貢献できているのかな」と悩んでしまう子もいる。みんなでひとりひとりの資質を共有することで新人もチームに溶け込みやすくなると思っています。
実は社長はチームの中のひとつの役割だということに、最近気づいたんです(笑)。それをちゃんとやるには忍耐力がすごく必要で、自分のコンディションを含めてそれを整えるのが僕の仕事だなと思っています。
[後編]
ネットショップ『デリ・カリーカ』も好調な
タバッキ代表の堤亮輔氏に店舗運営の秘密を聞く
インタビュー:梅原裕子
構成・文:前田陽子 (kilohana)
撮影:江藤海彦
「食」のウェビナー第3回
『デリ・カーリカ』に学ぶ、ネットショップ運営の実践テクニック
参加申し込み(無料)はこちらから