地域密着型店舗で成功を収め、ネットショップ『デリ・カリーカ』も好調なタバッキ代表の堤亮輔氏に店舗運営の秘密を聞く [前編]

魅力的な店舗を運営し、いかにお客様に喜んでいただける料理やサービスを提供できるのか。それらの戦略や考え方、そして飲食業界の環境の変化に対して、どの様に行動していくべきなのかなどを、人気店の経営陣の方などに語っていただく「食」のウェビナー企画。2021年5月26日にウェビナー第3回「『デリ・カーリカ』に学ぶ、ネットショップ運営の実践テクニック」が実施されます。そこで、第3回の登壇者であり、リ・カーリカデリ・カーリカなどを運営する、タバッキ代表の堤亮輔氏にお話を伺いました。インタビューの[前編]では「既存店舗の話」「魅力的なお店の運営」「スタッフとの関係」などをお聞きし、[後編]では、「コロナ禍の店舗運営」「『デリ・カーリカ』を始めたきっかけ」などをお聞きしました。(後編は5月15日更新予定)

堤 亮輔
株式会社タバッキ 代表取締役
1978年、東京都生まれ。21才で料理の道へ。イタリア・トスカーナで修業、帰国後は都内のイタリアンやフレンチ、和食を経験。東横線沿線の学芸大学にあるリ・カーリカ』『あつあつリ・カーリカ、都立大学のカ・リーカリに続き、2020年にラボ機能をもたせた新スタイルのリ・カーリカ ランドを目黒通り沿いに、そして2021年にはネットショップのデリ・カーリカをオープン。

→株式会社タバッキ
→「デリ・カーリカ」サイト

地域密着型の小さなお店からスタート

―まずは最初のお店、『リ・カーリカ』を立ち上げた時のことを教えてください。

35歳までに店を持ちたいと思っていました。飲食に関わって14年。シェフだったりマネージメントを任されたりしながら、34歳で『リ・カーリカ』を立ち上げました。元々モノ作りが好きというところから料理の世界に入ったんだけど、料理を作ると同時に内装やBGM、声かけといったことも大事に空間をコーディネートする事に興味がありました。

2013年2月に『リ・カーリカ』がオープンしました。シェフがいて2番目の子がいてサービスがいるというよくあるスタイルで、地域密着型の小さな店を学芸大学でスタート。自分でお店を持とうと思うと、多くの経営者は自分の思考の中だけでやりたいお店を作ろうとしている気がします。もちろんそれも大事だけれど、僕は会社を作りたいと考えていたんです。最初から3店舗を出すことを身近な目標としていました。

飲食において3店舗を持つことが飲食店経営でホワイトにいかに近づけるかという課題の中で最低限必要な数でした。僕は感覚的にそう考えていました。3店舗あれば単純に利益が×3になるじゃないですか。僕の分は1で賄えるので、残りをスタッフの時間や給与に還元できる。そういうシステムを作ってみたいと思っていました。実際はそう単純ではないと気づきましたが・・・(笑。

―昨年11月に『リ・カーリカランド』もできて、現在4店舗。それぞれのお店のコンセプトを教えてください。まずは『リ・カーリカ』について。

学芸大学には感度の高い人が住んでいるというイメージがありました。東急東横線の急行が止まる駅で、自由が丘と渋谷に挟まれていて。中目黒、恵比寿、港区で働いている人が住んでいる場所。ここに住む人はクリエイティブで、普段は都心、山手線の内側できちんとした食事をしている人が、休みの日に家族でサンダル履きで来るような店というのが最初のコンセプトでした。

―2号店の『カーリカ・リ』はどうですか。

ありがたいことに、1店舗目の『リ・カーリカ』が結構満席で。予約を取りこぼすということがよくありました。「リ・カーリカはいつも予約取れないよね」という声も聞こえてきていて。元々、スタッフの成長と共に新たな店をやろうと思っていたので、いいタイミングでもあるしと次の店について考えました。『カーリカ・リ』は学芸大学の一駅となりの都立大。東急東横線の高架下だけど広さもあって家族とかが来やすい雰囲気だなと思いました。『リ・カーリカ』が家族向けじゃないんですよ。ギュッと狭くて子どもが入りづらい。その点『カーリカ・リ』は高架下なこともあって柱があるから、それをうまくパーティションのように使うと個室のようになって家族が過ごしやすいんじゃないかなと。さらにおひとり様も来やすいよういにコの字型のカウンター席を16席作りました。お客さんの幅を広げたかったんです。