素材、調理、サービス、空間など様々な工夫をこらし、魅力ある店舗を運営している店舗経営者の方々に、その思考や戦略などのノウハウや発想などのお話を語っていただく「食」にまつわるウェビナー [ 飲食業界の現在と未来 webinar ]。その第一回を2020年11月に開催。
第一回のWebinarでは、六本木ほか恵比寿・田町で「KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA」を全4店舗、虎ノ門で新業態の「MOM&POP SPAGHETTI’S」を展開する展開する株式会社マザーレストランツ取締役の梶原 政之さんに、2020年から続く新型コロナウィルス感染拡大の中、今後飲食店はどの様に行動していくことが最善なのか、この機会をネガティブではなくポジティブに捉え、様々な視点から考察し、お店の魅力をどのように拡大していくべきか、そしてデジタルツールなど新たな手段の活用が重要という話を語っていただきました。
Speaker : 梶原 政之 氏
KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA 総料理長 / 株式会社マザーレストランツ取締役
1984年3月6日、東京都出身。北イタリア・ピエモンテ州の星付リストランテで修行を積み、帰国後、都内イタリアンレストランの料理長に就任。その後、2011年12月にKNOCK CUCINA BUONA ITALIANA 六本木本店を開業する。
→ KNOCK CUCINA BUONA ITALIANAサイト
Facilitator : 梅原 裕子 氏
SELF代表
メイクアップアーティストして、TVドラマ、雑誌、舞台メイク、ブライダルなど幅広い分野で活動。見た目の美しさの追求はもちろんのこと、心身共に健康であること、内面の美しさが引き出すチカラに着目し、現在は多くの飲食店のアピアランス研修やコーチングなどを手がけている。
■スタッフ全員で商品開発の企画を考える
■自分たちが良いと思える国産の食材やお皿を積極的に使用
■「その街に生きるレストラン」をコンセプトにホスピタリティあるレストランを目指す
■スタッフ間で来店者情報を共有。お客様にお店のファンになってもらうように心がける
■お店の最大の魅力はスタッフ
■スタッフが自信を持って現場に立てるよう学べる場を営業時間外に作る
■なるべく小さいうちに問題やストレスを解決する場を店舗ごとに作る
■お店で営業する以外の経験をしてもらう場として海外研修旅行を毎年実施する
■食材の仕入れ先の明確やどんなスタッフが働いてるかなどをSNSを通じて発信する
■オンラインで毎日店舗毎に朝礼を実施。スタッフの顔を見る事を毎日のルーティンにする
■何事もトライし、その上で改善を行なっていく
「その街に生きるレストラン」に必要なこと
梅原 本日は「イタリアンレストラン『KNOCK』の魅力的な店舗運営」というタイトルで、『KNOCK』の総料理長 梶原政之シェフにお話を伺っていきたいと思います。まず『KNOCK』のオープンから現在までの成り立ちを、先に説明させて頂きます。
2011年12月にグランドハイアット東京の向かいに六本木本店がオープン。当初は社員とアルバイトスタッフを入れて10名というスタートで、2014年11月に東京ミッドタウン店がオープン。続いて、2016年の9月に3店舗目の恵比寿店、2018年にJR田町駅直結の新しい商業ビルに4店舗目をオープンされました。そして、今年2020年6月に、虎ノ門ヒルズビジネスタワーの地下1階に新業態の『MOM&POP SPAGHETTI’S』というスパゲティ専門店がオープン。『KNOCK』とは違う業態で、10種類のグランドパスタに季節のパスタを用意していて、1人でもさっと寄れるような店舗となっています。
現在は社員50名、アルバイトスタッフも入れて100名以上でどんどん大きくなっていっています。まずは『KNOCK』はどんなコンセプトでやっているのか、お店のこだわりなどについてお話を伺っていきたいと思います。梶原シェフ、よろしくお願いいたします。
梶原 『KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA』総料理長の梶原政之です。僕はイタリアのピエモンテ州のトリノというところに2年ほど住んでおり、その町の郷土料理がベースになっています。トリノという町は山に囲まれていていて、新鮮な魚介というのはあまり仕入れられず、肉やお野菜、山の中で採れた物、あとはドライフルーツなどが多くて、魚よりもお肉が中心の郷土料理です。そこに僕の経験も生かして「山のイタリアン」というコンセプトで9年前にお店をスタートさせました。
梅原 商品開発や出している食材とかにはどんなこだわりがあるんですか。
梶原 国産のものをいろんな形で多く仕入れようとしています。食材だけではなくスパゲッティを盛るお皿も含めて国産のものを使っていきたくて、いろんなところをご紹介頂き、農家さんやお皿を作る工場も現地に伺って感想も伝え、想いを込めて生産者さんたちに物を作ってもらっています。それを仕入れて、お客様に伝えるっていうことが昔からの狙いですね。
商品開発は”パスタ1000本ノック”という企画を行なっていて、ランチの日替わりメニューをスタッフ全員で開発しています。1000本ノックの企画は、1000種類のスパゲティを開発する事を目指すという9年前からの目標があります。今ではもう1000種類を超えたんじゃないかと思って、数えるのもやめてしま いました。でも、まだまだ現在進行形でみんなで毎日開発中です。
梅原 お店のコンセプトに「その街に生きるレストラン」っていうすごく響くワードがありますけど、これはどんな形で生み出されたんですか。
梶原 2011年に六本木に本店をオープンした際、お客様に1年に1回記念日だけ来ていただくアニバーサリーレストランではなく、週2回や3回、お昼だったら毎日来てもらえるようなレストランを目指したいねっていう事と、働いている人だけではなく、六本木に住んでる方々にも愛されるレストランを目指そうという事から「その街に生きるレストラン」と言い続けてます。
梅原 お客様に近い感じで素敵ですね。
梶原 お客様と近すぎるのもよくないと思うんですけど、なるべくお客様の来店時にお客様の情報をスタッフの中で共有をしてコミュニケーションをとり、それが次回の来店動機の一つになったり、多くの方にお店のファンになって頂けるように、いろんなことを考えて毎日営業しています。