トライ&エラーを繰り返して、楽しみながらやっていく / 『eat 麻布十番』に学ぶ、コロナ禍のネットショップ戦略

トライ&エラーを繰り返して、楽しみながらやっていく

梅原 飲食業界のみならず、皆さんそういう時期が必ずありますね。きっと何か意味があってそういう事が起きているのかなという思いもありますが、そういう逆境で大きな壁が目の前に立ちはだかった時、こういう意識でいるとか、こういう風に乗り切ってきたみたいな事ってありますか。

佐藤 やはりお客様が減ってしまって、都度アイディアを瞬間的に出していかないといけなかったです。地震のときは、電気が足りなくて省エネだっていうので、「キャンドルナイト」っていうろうそくの明かりだけでお店を照らしたりしました。

梅原 普段だったらお店が暗いとかNGですし、考えないですよね。それをやろうっていう事が、面白いと思います。そういうアイディアって困っているときに出てくる事ってありますよね。

今回のコロナ禍も大変だと思いますが、昨年の緊急事態宣言の時お店の状況はどうでしたか。

佐藤 やっぱり昨年の緊急事態のときは結構慌てたというか、周りはどうしているんだろうって思っていました。

でも、FacebookとかInstagramとかSNSを見ると、「うちはこうやってます」みたいな話が書かれていたりしたので情報には困らなかったんですよ。それで、うちはやっぱり食材を使って何か作りたいよねってなって、テイクアウトをすぐに始めました。結構評判もよかったです。あの時はお客様がお店を助けようっていう動きもあって、結構常連さんが買いにきてくれました。ただお酒を売れなかったので単価は下がりましたね。

梅原 普段とは全然違いますよね。例えばお弁当を提供するのとか結構大変だったっていう話をよく聞きました。

佐藤 僕たちは普段、お店で料理を提供する時はお皿に盛りつけるじゃないですか。器込みで料理の風景や形式を考えているんですけど、お弁当として提供するとなった瞬間にどうやって料理を詰めればいいんだろうっていう、そこから始まるんですよね。

梅原 お弁当用の箱探したりとかも、やっぱり大変だったんですか。

佐藤 もうどこも売り切れになっていて、どこで探せばいいんだろうとか、その手配が全部初めてでした。

梅原 お店で出す料理とお弁当だと全然違いますよね。普段お店で食べている料理でも全然見えかたが違いますよね。

佐藤 お皿に盛った時と、お弁当箱にいれた時の見えかたも違うし、この値段でいいのかなとか、値付けにも結構苦労しましたね。

梅原 今もテイクアウトはやっているんですか。

佐藤 やめていたんですが、また始めます。あとはUber Eatsやタクシーデリバリーの様なデリバリー系の流通サービスがいっぱい出てきているので、そういうのを増やしていこうって思っています。

梅原 リアル店舗を運営しながらそういった新しい事業にチャレンジしていくっていうことは実際やってみると大変ですか。

佐藤 意外とすぐ慣れるんじゃないかなと思っています。お弁当箱の詰め方とかもそうだし、結局お客さんの反応を聞いていけば、次はこうしようってなるし。意外と順応できるというか、楽しんでやっていく方がいいんじゃないのかなと思っています。

梅原 お客様が買ってくれて、そこで意見を聞いてさらに改良していくことも楽しんでいるんですね。

佐藤 お店で普段出せないものを作ってもいいですよね。テイクアウトやデリバリー限定でしか食べられないものとか。

梅原 家でもおいしくて、特別な物が食べられたら嬉しいです。楽しみながらいろいろ研究していくっていうのも、これからの新しい試みといったところですね。

あと、一番気になるところは、お店で働いているスタッフの方たちのことです。スタッフからのコロナ禍の反応ってありましたか。やっぱり不安もありますよね。

佐藤 一人暮らしのスタッフとかは、ずっと家にいると会話がLINEだけとかになるじゃないですか。なので、お店に出てきてコミュニケーションとって意思疎通する方が、意外と心身的にいいんじゃないのかなという気はしています。

梅原 確かに家で1人って寂しくなっちゃうんですよね。

佐藤 お店に出てくるといろんな情報が入ってくるので、みんなでコミュニケーションを取った方が、乗り切れるんじゃないのかな。

梅原 情報について言えば、SNSで収集していた話を先程お聞きしましたが、周りのお店とか知り合いと方達と情報交換したりとかっていうのもあったんですか。

佐藤 横の繋がりで同業の飲食の仲間たちに相談しましたね。

梅原 ライバル店や同じ業態でやっているお店が、どういうふうにやっているか気になると思いますが、こういう状況になって逆にみんなで食を盛り上げていこうみたいなのはありましたか。

例えばこの店では、こんなことやっているから、うちでもやってみようとか、全然違う業態だけどこんな面白い事をやっているお店もあるんだから自分たちも頑張ろうというのがあったりしますか。

佐藤 それはもう、みんなが知恵を絞り出して色々なことをやっているっていうのは刺激にはなりますね。

梅原 普段は忙しくて時間もなく、情報を探しに出かけたり、商品やサービスの開発にも携わる時間もなかなかないと思いますが、今はそれができる貴重な時間なのかなっていうふうにも感じます。後半では、『eat』が展開する新たな取り組みについてお話下さい。

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eat 麻布十番

“eat(いいと)1階は「肉」を和食を通しお楽しみいただける大人の落ち着きあるカウンター空間。店内入口の小さなバーのような空間で「ふらりと1杯」など気軽にご利用いただけるお店です。 eat(いいと)地下1階は「鮨和食」のレストランとして、お料理メニューも充実。1階とは違った活気に満ちた明るい空間で、ごゆっくりとお食事をお楽しみいただけるお店となっています。

eat sushi-washoku
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eat niku-washoku
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