2021年1月に開催した[ 飲食業界の現在と未来 webnar ]第2回の後半は、『eat 麻布十番』のネットショップ開設に関する話を、佐藤幹さんと「BASE」の中野優太郎さんのお二人にお話し頂きました。
→以前の記事「トライ&エラーを繰り返して、楽しみながらやっていく / 『eat 麻布十番』に学ぶ、コロナ禍のネットショップ戦略」
Speaker:佐藤 幹 氏
株式会社ディスカバリー 代表取締役
1975年生まれ、東京都出身。調理専門学校卒業後、数々の和食店で約12年経験を重ねる。2007年に「食幹」をオープンし、現在は2020年6月にリニューアルした「麻布十番eat」を手がけ、オーナーシェフとして和食の楽しさを伝えている。
中野 優太郎 氏
BASE株式会社 Business Development
1993年生まれ、東京都出身。大学在学中に株式会社カカクコム食べログ本部新規事業部でインターンを経験。大学卒業後、 新卒でITベンチャー企業に入社。法人営業に従事。その後、化粧品会社にてWebマーケティングに従事し、2019年12月にBASE株式会社に入社、Business Developmentに所属。
■誰でも簡単にネットショップが作成できるサービスを提供
■月額固定費無料で、誰でも簡単に始められる
■楽天さんやアマゾンさんの様な色々なショップが並んでいるのはモール型
■「BASE」で開設するショップはカート型で、開設した方がご自身のショップを持つ形になる
■ショップのブランディングをしやすく、手数料も抑えられて価格競争が起きにくい
■ショップの集客は自ら行う必要がある
■ショップ開設の累計推移は2020年の12月時点で、130万ショップ開設
■スマホで提供しているショッピングアプリも700万ダウンロードを突破
■特にファッションや飲食系の2ジャンルが堅調に伸び続けています
■特にファッションや飲食系の2ジャンルが堅調に伸び続けている
■昨年6月に「テイクアウトApp」というテイクアウトの為のアプリをリリース
■「商品オプションapp」は購入したものにオプションを追加したいときなどに活用できるもので、テイクアウトにも対応
■通販の送り状を注文情報から一括でダウンロードしてB2クラウドに簡単に入れられる機能もある
■「BASE U」というサイトで、ショップ運営に関するノウハウをまとめて配信中
■Instagramの広告を簡単に利用できる様にした「Instagram広告app」も提供開始
■昨年、BASEサービスの公式本も発行
知識を積み重ねていくしかない
中野 BASE株式会社で事業開発を担当しています中野です。現在「BASE」をご利用いただいていますが、実際最初使ってみていかがでしたか。
佐藤 はい、利用する際には簡単だよって言われたんです。実際、非常に簡単だったんですが、僕は使い出す最初の一歩に時間を使ってしまいました。登録したらそのあとはあっという間で。インスタのアカウント作るのと同じぐらいの感じでしたね
中野 最初始めるまでに腰が重かったようですが、始めるまでに不安だった点とかありましたか?それとも何かつまずいた点とかってあったんでしょうか。
佐藤 単純に腰が重かっただけです。飲食店ってリアルな場じゃないですか。お店を作る際には、物件を借りてそこにテーブルと椅子とキッチン作って、お客様が来てくださっていう感じですけど、ネットショップはそんな物理的な用意をせずに商売が始められてしまうので、最初に商品は何を出そうとか、店舗では来店されるお客さんの顔や表情などの雰囲気をみて料理を作れるけど、それに慣れてしまっているので、目の前で表情や雰囲気が見えないお客様にどういうものを提供すれば喜んで頂けるのかというところで、物凄く悩んでしまったんです。ネットショップはオープンしたばかりですから、これからは逆にそこを楽しんでいきたいなと思ってます。
中野 ありがとうございます。商品はいくつか作られていると思いますが、二つほど聞きたいことがあります。先ほど店舗での展開はエンターテイメントってお話をされていましたが、ネットショップの方はどうなんでしょうか。ショップコンセプトや販売されている商品の開発ストーリーなどをお伺いできますか。
佐藤 前回のウェビナーで『knock』さんが体験を売るっていう提案をされていますよね。逆に僕たちは最初、店舗にはない商品を売ろうという事やお店で体験できるもので何が届けられるかとかいろいろ考えたんです。例えば、店舗で作っている料理を量り売りしたり、店内に飾ってあるオリジナル作品の絵を売っちゃおう、それが売れたらまた違う絵を書いてもらおうとか。そういうサイクルが作れたら面白いなと思ったんです。
実際にやってみると色々問題はあるかもしれませんが、そういう事例を作った後に、ブラッシュアップされてネットで売られてる商品があると思うんです。とにかく自分たちで体験しないといけないなって。例えば店舗で使っている塩麹、美味しいしみんなに食べてもらいたいから売っちゃおうとか、店舗にはプレミアムなウイスキーがあるよって知ってもらう手段につかってみる為に、ネットショップでワインやお酒のリストを掲載して、そこからボトルキープしてもらうようにするとか。そういう活用方法もあるなと考えていました。
あとは、店舗を知ってもらえるきっかけになるんじゃないかなと思ったんです。この店がどういう考え方なのか、提案している商品でなんとなく伝わってくるじゃないですか。僕も服とかキャンプ道具とか、ほとんどネットで買っているんですけど、このショップの背景いい感じだし自分に合うなとか、このショップの商品は自分にあうからキープしとこうだったりとか、そういうカラーを僕もネットショップで出していけたらいいなと思っているんです。とは言いつつも、実際商品が沢山売れる人たちかにはまだまだ追いつけてない感じですが。
中野 ネットショップと店舗のコンセプトの違いはあるんですか。
佐藤 店舗だと言葉を交わしたり、料理の演出や目の前に素材が並んでいたりするのでお客様に色々な情報が伝わりやすいんですが、ネットショップの場合は、文章もどうやったら読んでもらえるか、どうやって情報を伝えたらいいのか。写真は視覚で伝えやすいので、もっと工夫していかないといけないと思ってます
中野 でも『eat』さんが掲載されている写真は綺麗ですよね。インスタの写真などはスタッフの方が撮られているんですか。
佐藤 あれは僕やスタッフみんなで撮っています。
中野 伝えるツールとして写真は大いに活用するべきですね。ちょっと話が変わりますが、いま緊急事態宣言中ですが、前回の緊急事態宣言と今回で何か違ったところはありますか。
佐藤 家から出ちゃダメっていう雰囲気がより一層強くなっているイメージがあります。これからは取りに来るテイクアウトより、自分のいる場所に届けてくれる方がいいというのがより増えるんだろうなと思いました。だから、今後ちゃんと通販を強化していっているところにお客様が集まるんじゃないかと思っているんです。
通販を強化する上で、商品は長期保存できるものを作っていければいいなと思っています。例えばお味噌とかお肉のタレとか。後は店舗で提供しているガリとか寿司酢とかもいいんじゃないかと。とっても美味しいんですよ。そこからイメージが色々と膨らんで、梱包する容器はどういうのがいいかとか、どういう形で送ればいいんだろう、発送用のダンボール箱もどうしようとか。こういった事全部が知識として蓄積していきますよね。きっと失敗もあるでしょうけど。